' 県立住田高校 | 逃げ地図

事例紹介

岩手県 県立住田高校

対象災害
  • 津波
  • 土砂災害
  • 洪水

経緯と目的

  • 岩手県立住田高等学校が、平成28年度岩手県教育委員会の防災研究校に指定され、学校防災アドバイザー派遣事業として、前年度大船渡東高校における逃げ地図づくりの講師を務めたNPO法人陸前高田創生ふるさと会議の福田利喜氏に県教育委員会から依頼があった。
  • まず住田高校の教職員が、逃げ地図づくりを事前体験して、逃げ地図づくりのファシリテイターの役割を担えるように、ワークショップ方式の教職員研修会を開催した。
  • その約1ヶ月後に開催した住田高校の生徒向け防災研修会は、住田高校の1〜2年生が自ら暮らす住田町、陸前高田市、大船渡市における土砂災害や津波からの避難に関するリスクについて学ぶことを目的とした。

方法と内容

  • 教職員研修会は、講師の福田利喜氏がパワーポイントを使用して逃げ地図づくりワークショップの目的と方法を説明したのちに、参加した教職員が2班に分かれて、住田町における土砂災害からの逃げ地図を作成し、お互いの班の発表をして共有化を図った。
  • 教職員研修会で使用した地図(ベースマップ)は、住田町が作成し各家庭に配っている「住田町防災マップ」をスキャンして大型地図(A0)へ拡大したものを用いた。
  • 生徒向け防災研修会も、講師の福田氏が全体の進行管理役とアドバイザーとなり、逃げ地図づくりワークショップの目的と方法を説明したのち、参加した生徒たちが自らの居住区ごとに11班に分かれ、1ヶ月前に逃げ地図づくりを学んだ教職員がそれぞれの班のファシリテイターとなり、それぞれの居住区の逃げ地図を作成した。
  • 班編成は、住田町内3地区4班、陸前高田市内3地区4班、大船渡市内2地区3班に学校側が生徒の居住地をもとに行った。内陸部にあり津波の影響のない住田町と陸前高田市横田町は、土砂災害と洪水からの逃げ地図を作成し、その他の陸前高田市と大船渡市の地区では、津波からの逃げ地図を作成した。作成終了後、班ごとに発表を行い、福田氏が講評を行った。
  • 使用した地図は、住田町内については教職員研修で使用した住田町防災マップを拡大した。その他の地区については、国土地理院の白地図に大船渡市と陸前高田市の海岸部については、東日本大震災の浸水区域を表示した。陸前高田市の内陸部であり津波の影響のない横田町地区については、陸前高田市が示している防災ハザードマップから洪水浸水域と土石流の範囲を表示して用いた。

成果と課題

  • 教職員によっては逃げ地図づくりの理解度の違いがみられたが、生徒向け防災研修会では逃げ地図づくりの研修を受けた教職員がファシリテイター役を果たし、生徒たちの各居住区の逃げ地図を作成することができた。
  • 生徒向け防災研修会では、教職員から「生徒も熱心に取り組んでいたし、それぞれの個性もいつもと違ったものが見られた」という感想が述べられ、副校長先生からは、「防災意識や自分たちが住んでいるところはどんなところかということを生徒たち自らが話し合うことができ、とても良い研修になった」とのコメントを得た。
  • 班の人数により同地区の同じ地図を使用したのが陸前高田市で2班、大船渡市でも2班あったことから、想定を昼間と夜間といったように変えて行った方が、より逃げ地図についての理解が深まったと考えられる。陸前高田市竹駒地区など津波と土砂災害の両方の被害が想定される地区における逃げ地図づくりを含め、災害の想定や条件付けが検討課題として残された。

基本情報

開催年月日 教職員事前研修:2016年11月18日(金)
生徒向け防災研修会:2016年12月14日(水)
開催場所 岩手県立住田高校
主催 教職員事前研修:岩手県教育委員会
生徒向け防災研修会:岩手県立住田高校
参加対象 教職員事前研修:住田高校の教職員
生徒向け防災研修会:住田高校1年生および2年生、教職員
参加者数 教職員事前研修:15人
生徒向け防災研修会:生徒約70人、教職員(ファシリテイター)10数人

ワークショップの様子

教職員研修会で作成した住田町の土砂災害からの逃げ地図づくりの成果の発表

生徒向け防災研修会における逃げ地図づくりの様子

11班に分かれて住田町と陸前高田市と大船渡市の各居住区の逃げ地図を作成

陸前高田市横田町における土砂災害と洪水からの逃げ地図づくりの成果発表

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