事例紹介
京都府 福知山市中心市街地
- 対象災害
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- 洪水
経緯と目的
公益社団法人日本青年会議所国土強靭化委員会は、2019年度の活動計画として多様な災害からの「逃げ地図」づくりの全国的な普及を掲げ、その第一弾として京都府福知山市中心市街地において洪水からの逃げ地図づくりを開催することにした。
福知山の街は、福知山城を築城した明智光秀が、由良川の河原に堤防を整備して城下町を造成したため、由良川が氾濫すると度々水没する歴史を繰り返してきた。戦後も1953年9月の台風13号で由良川の堤防が決壊して甚大な被害となり、それ以降治水対策が進められてきた。しかし、2014年8月の集中豪雨で観測史上最大となる時間雨量341mmを記録してこれまで経験したことのない内水被害が生じた。2018年の西日本豪雨でも市内各地で内水氾濫による浸水被害が生じた。
こうした歴史と近年の度重なる水害を背景として、いの一番に福知山市青年会議所が逃げ地図づくりの対象にとして手を挙げた。
方法と内容
福知山中心市街地の洪水からの逃げ地図づくりにあたっては、株式会社パスコの協力を得て、Mappin’ Drop(マッピング ドロップ)という地図作成ツールを使用してベースマップを用意した。https://www.pasco.co.jp/MappinDrop/
避難手段は徒歩と車両の両方を設定し、徒歩は1/2,500、車両は1/5,000のベースマップを用意し、車両の避難速度は東日本大震災時の石巻市の中心市街地での自動車の移動速度の150m/分を準用し、3分450mの逃げロール(革紐)を用意した。
避難目標地点は、車両の場合は浸水非想定区域と道路の交点を設定し、徒歩の場合は公共施設の指定避難場所(昭和小・惇名小)のほか、会場の商工会館など指定された洪水避難ビルなどを避難目標地点として設定した。
約80人が参加したため、それぞれ避難条件の異なる10班に分かれて約1時間かけて洪水からの逃げ地図づくりに取り組み、作成した10種類の逃げ地図を並べて成果と課題を共有した。
成果と課題
福知山市内の参加者からは、「高齢者はそんな遠くに歩いていけないし、車もない。(気象情報を元に)早めに避難することが大事と思った。」「車が渋滞して動けなくなった時のリアルな状況がイメージできてゾッとした」「ぜひ、このワークショップを(地域で)行いたい。JCの方々が講師をしてくださると広まるのではないか。」と言ったアンケート結果が寄せられた。
今回は福知山をモデルとして他地域からの参加者も多かったが、「今回は自分の住んでいるエリアではない場所での作成でしたが、私の住んでいるエリアでもやってみるべきだと思いました。」「逃げ地図づくりを通して地域の住民同士で、より自分たちが住む地域について考える契機になるのでは。」「可視化したことで避難場所の必要な所等が明確になるので、それをもとにまちづくり計画を考えるのも面白そうです。」などの感想や意見が多く寄せられた。
基本情報
開催年月日 | 2019年2月27日(水) |
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開催場所 | 福知山商工会館4階 |
主催 | 公益社団法人日本青年会議所国土強靭化委員会 公益社団法人日本青年会議所近畿地区京都ブロック協議会 一般社団法人福知山青年会議所 |
後援 | 内閣府政策統括官(防災担当) |
協力 | 一般社団法人子ども安全まちづくりパートナーズ セコムIS研究所 株式会社パスコ |
参加対象 | 福知山青年会議所など日本青年会議所近畿地方の会員や行政職員、福知山市社協職員ら |
参加者数 | 約80名 |
新聞掲載 | 両丹日日新聞2019年3月1日 https://www.ryoutan.co.jp/articles/2019/03/88670/ |
ワークショップの様子
福知山の逃げ地図づくりのチラシ
福知山の逃げ地図づくりの様子
作成された福知山の逃げ地図(一部)
逃げ地図in福知山記念写真
福知山の逃げ地図作りワークショップのプログラム