事例紹介
和歌山県 串本町田原地区1
- 対象災害
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- 津波
経緯と目的
本ワークショップは、文部科学省の科学技術試験研究委託事業<防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト>の一環として開催されたものである。
田原地区の津波避難場所は基本的に急峻な山に位置しているため、まちの中心部の避難困難の課題を解決すために津波避難タワーが建設されている。しかし、住民の避難タワーの高さに対する心理的な不安もあり、避難を諦める雰囲気が強まる傾向であった。
そこで、本ワークショップは逃げ地図づくりを通して避難タワーの有用性の検討と田原地区を避難可能なまちにするための対策についてのアイデアを得ることを目的として行った。
方法と内容
まず、まちの現状把握のために、ブロック塀や抜け道等を現地でチェックし、まちの潜在的なリスク把握ができるオリジナルマップを作成した。新型コロナ禍で集会は難しい時期でもあり、現地調査は京都大学防災研究所の研究員・学生と串本町総務課の防災・防犯グループ職員が行った。
次に、ワークショップ当日は2部構成で開催した。前半は参加者が4つの班に分かれて作業を行った。各班のメンバーは住民・小学生(3年生~5年生)・先生・町職員で構成した。シナリオは避難タワーの有無と道の通行可否(通れない道の設定は、前記したオリジナルマップを参考に×印を付けた)で組み合わせで設定し、全部で4種類の逃げ地図を作成した後、各班の小学生が気づいたことについて発表した。
続いて、ワークショップの後半は住民と町職員のみが参加すした。前半の成果物である4種類の逃げ地図を「避難タワー有」と「避難タワー無」で2つの班に分け、シナリオごとの気づきについて話し合い、住民が発表した。
成果と課題
参加者からは「道の通れる/通れない設定で避難場所までの時間が結構違う」、「避難場所までの間の危険な箇所がわからないと逃げられない」、「ブロック塀が崩れて通れない場合、逃げられない場所が多い」ということに気づいたという意見を頂いた。また、「避難をはじめからあきらめている人が多い」という言いつつ、「山沿いに上れる階段が意外に多い」、「避難場所AがダメでもBなら近いことが分かった」といったポジティブなコメントも得られた.その他に災害時の線路の横断や神社境内等の抜け道に関する模索の声も出た.
基本情報
開催年月日 | ・現地調査:2022年10月14日 ・ワークショップ:2023年1月16日 |
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開催場所 | 山村交流センター(田原地区) |
主催 | 京都大学防災研究所 |
協力 | 京都大学防災研究所 牧紀男研究室、明治大学 山本俊哉研究室、串本町 |
参加対象 | ・現地調査:大学院生、町職員 ・ワークショップ:地域住民、小学校の生徒・先生、町職員 |
参加者数 | 計26人(住民8人、小学生7人、先生5人、防災・福祉担当の町職員6人) |
新聞掲載 | ・NHK関西のニュース2023年01月16日 ・熊野新聞オンライン 2023年01月18日 ・紀伊民報AGARA 2023年01月18日 |