事例紹介
高知県 黒潮町明神地区
- 対象災害
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- 津波
経緯と目的
- 黒潮町の佐賀漁港近くに位置する明神地区は、南海トラフ巨大地震に伴う津波対策として、黒潮町が高台の城山避難広場やそれに至る避難階段の整備を進める一方、明神地区自主防災組織は平成26(2014)年3月に「明神地区津波避難計画」を作成して課題を整理し、津波避難訓練等を実施してきた。
- 明神地区津波避難計画では、夜間の地震発生時の課題として避難場所における照明や主要な経路における誘導灯の整備をあげるとともに、災害時に避難経路が通れなくなる場所ができることを考え、迂回路を予め決めておくことなどが明記した。
- 津波避難タワーの建設が決まった隣町の浜町地区において同年2月に実施した逃げ地図づくりワークショップが好評であったことから、夜間時や雨天時などの悪条件での避難を考えるため、それを設定条件として織り込んだ逃げ地図づくりワークショップを開催した。
方法と内容
- 避難目標地点は、「晴天昼間時・高台避難(海抜20mと道路・階段との交点)」「晴天昼間時の指定緊急避難場所への避難」「雨天夜間時の指定緊急避難場所への避難」の3ケースを設定し、3班に分かれて1時間をかけて津波からの逃げ地図を作成した。
- 「雨天夜間時」は暗がり・雨対策により避難を始めるのが通常よりも時間がかかるとし、緑(3分)の色を廃して黄緑から色塗りを開始した。また、避難に係る移動時間は晴天昼間時の80%に低下するとして、革ひもの長さを調整した。
- 大雨に伴う河川や水路の氾濫による避難障害地点は、参加者の意見を踏まえながら設定した。
- 当初想定した以上の参加者があり、予め3班構成で準備をしていたため、1班あたり10人程度になってしまったことから、手を動かして地図づくりをする人が限られてしまった。
- 参加者の約半数が70歳以上の高齢者であったが、8歳の子どもや30歳代のファミリー世帯の参加も見られた。
成果と課題
地域住民が雨天時および夜間時における地震発生と津波到来、避難のイメージを想起し、共有する上で良い機会になった。また、晴天時や昼間時の逃げ地図と比較することで、雨天時や夜間時を想定した避難対策を進める必要性が明確になった。このワークショップの約1年後の2016年10月に夜間の避難訓練が行われた。
基本情報
開催年月日 | 2015年10月24日 |
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開催場所 | 佐賀町漁協漁民研修センター |
主催 | 黒潮町 |
参加対象 | 明神地区の住民 |
参加者数 | 約30人 |
ワークショップの様子
逃げ地図づくりワークショップの案内
3班に分かれて逃げ地図作成
晴天昼間における高台+避難タワーへの逃げ地図
雨天夜間における高台+避難タワーへの逃げ地図
作成した逃げ地図の比較
陸前高田市から参加の福田利喜さんが講評