事例紹介
岩手県 陸前高田市小友地区
- 対象災害
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- 津波
経緯と目的
- 2013年9月21日に開催された高田東中学校での逃げ地図ワークショップを受け、津波浸水区域に立地する小友小学校の保護者から小友地区でも開催したいという声があがった。
- 陸前高田市消防団では、東日本大震災で多くの消防団員が避難誘導中に被災して死亡したことから小友分団の消防団員からも逃げ地図ワークショップを開催して避難誘導のあり方を検討したいという声が上がった。
- そこで、小友地区コミュニティ推進協議会と陸前高田市消防団小友分団が共催して開催することになった。
方法と内容
- 2014年3月14日に小友コミュニティセンターにて、震災当日に避難誘導を行った消防団員や小友小学校PTA関係者など約30名が集まり、小友町地区を東西に分けた上で、車両を使って避難する場合と徒歩での避難を含めた場合の計4班に分かれて逃げ地図を作成した。
- まず、陸前高田市の防災マップを参考に予めベースマップに記した東日本大震災の津波遡上ラインと一次避難場所・二次避難所の位置を確認した。次に、津波遡上ラインと通行可能な道路との交点を避難目標地点として設定した。車で避難する班は、車が通行可能な道路、徒歩で避難する班は車の通行は困難な通路や階段等も含めて交点を記した。そして、その避難目標地点からの避難時間を3分ごとに色を変え、避難経路の色塗りをした。車での避難も便宜上、徒歩での避難と同じように色分けして最短経路を記した。
- 参加者は色塗りをしながら、その道路が避難路としてふさわしいか、一次避難場所が緊急避難場所として適しているかを確認しながら作業が進めた。特に、消防団からの参加者は、震災当時通行規制にあたったことから、避難経路に関する問題点や課題が次々と指摘された。
成果と課題
- 東日本大震災時に車による避難が問題になったため、車両による避難をテーマとし、避難目標地点の設定条件を変え、徒歩のみ通行可能な場所と車両でも通行可能な場所の2ケースを比較した結果、車での避難が困難な道路でも、徒歩で避難することで避難時間を10分近く短縮することができるエリアもあることが明らかになった。
被災当時、実際に避難誘導をした消防団員が参加したことにより、「消防団が避難誘導していた交差点は、実は一番危険な場所だとわかった」「避難を呼びかけている自動車さえ通れない状況になったことから、高台移転で整備される道路はすれ違えるように部分的に拡幅することが重要だ。」などの意見が出され、逃げ地図が消防団の避難誘導方法を点検するためのツールとして有用であることが明らかになった。 - 車両による避難と徒歩による避難を同じ避難時間の尺度で逃げ地図を作成してよいのかという意見があった。
- 国土地理院発行の災害復興計画基図(1/2,500)をベースマップにして逃げ地図を作成し、ワークショップ中のコメントを整理・取捨選択した掲載してリライトした逃げ地図を印刷して2015年5月に小友地区の全戸に配布した。
- 逃げ地図ワークショップに参加した小友小学校の教員が逃げ地図を踏まえて小学校からの避難経路を再検討し、実際に児童たちと一緒に避難経路を歩いて避難時間を計測した結果、従来よりも避難時間を短縮できることがわかった。
基本情報
開催年月日 | 2014年3月14日 |
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開催場所 | 小友地区コミュニティセンター(ふるさとセンター) |
主催 | 小友地区コミュニティ推進協議会、陸前高田市消防団小友分団 |
共催 | 陸前高田まちづくり協働センター |
後援 | 明治大学震災復興支援センター |
協力 | 明治大学山本俊哉研究室、日建設計ボランティア部、子ども安全まちづくりパートナーズ |
参加対象 | 小友町地区住民、消防団員、小友小学校PTA関係者 |
参加者数 | 約30名 |
新聞掲載 | 東海新報 2015年3月16日 岩手日報 2015年3月16日 東海新報 2015年5月17日 |
学会発表 | |
白幡玲子・山本俊哉・吉野加偉・木下勇・羽鳥達也・谷口景一朗「陸前高田市における逃げ地図の活用と展開プロセス-逃げ地図を活用した津波防災まちづくりに関する研究(2)」日本建築学会大会(近畿)学術講演梗概集, 2014年9月13日 山本俊哉・白幡玲子・大崎元・井上雅子・羽鳥達也・木下勇「逃げ地図作成ワークショップにおける避難に係る条件の設定方法 逃げ地図を活用した津波防災まちづくりに関する研究(4)」日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集, 2015年9月6日 白幡玲子・山本俊哉・神谷秀美・谷口景一朗・羽鳥達也・木下勇「陸前高田市において作成された逃げ地図の整理と表現の方法 -逃げ地図を活用した津波防災まちづくりに関する研究(10)」日本建築学会大会(関東)学術講演梗概集, 2015年9月6日 |
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リンク先 | |
ワークショップの様子
車両による通行可能な避難目標地点と徒歩による通行可能な避難目標地点の逃げ地図の比較
逃げ地図の作成と地区防災計画についてのレクチャー
地元消防団員はお揃いの法被を着て逃げ地図を作成
作成した逃げ地図に関する成果の発表会