事例紹介
神奈川県 鎌倉市立第一中学校
- 対象災害
-
- 津波
経緯と目的
2012.8.26に開催された鎌倉市材木座地区でのワークショップに鎌倉市立第一中学校の西岡正江校長先生(当時)が参加していたことをきっかけに、是非中学生を対象とした逃げ地図ワークショップを開催したいとの依頼を受け実現。
2012年は、全校生徒約200人を対象としたワークショップ。
2013年以降も毎年、防災の日前後の中間考査最終日午後に日程を固定し、継続的に逃げ地図ワークショップを開催。
方法と内容
中学生を対象とした最初の逃げ地図WSである。この中学校の学区はこれに先立って逃げ地図WSが行われた材木座町内とほぼ重なっており、作業用の地図はそのときと同じ地図画像データを利用して日建設計にてプリントした。在校生全員が参加者となり、体育館兼講堂の床に地図をひろげて作業を行った。班の数も多く、日建設計ボランティアチーム、地元まちづくり団体「ひとまち鎌倉ネットワーク」、地元自治会「材木座自治連合会」のメンバーが各班にファシリテーターとしてついた。「ひとまち」と「材木座自治連合会」のメンバーは逃げ地図WSの参加経験者である。
羽鳥氏による作成方法の説明のあと、ファシリテーターの指導の下、逃げ地図の作成を行った。まずは自分の自宅の位置を確認すること、つづいて海抜の等高線を認識して避難目標地点を設定することを行った。このWSでは橋の被害の有無や津波避難ビルの有無などの前提条件を複数設定して班による結果の違いを比較する方針がとられた。中学生は初めてにしては飲み込みが早く、作業は比較的スムーズに進んだが、一方先生たちも予備知識なしでぶっつけ本番だったために的確に指示を出すことができず、作業方法や設定の解釈などでやや混乱が見られた。日建設計のメンバーが走り回って各班の進捗を補助していた。作業終了後代表による班ごとの発表が壇上で行われた。成果物は校内の廊下に張り出され、翌年以降の逃げ地図WSの参考にされた。
成果と課題
- 浪花惠昭氏をはじめとする材木座逃げ地図ワークショップに参加した地元住民の方が支援者として各班をサポート。世代間交流のきっかけとなる。
- ワークショップ後、作成した逃げ地図を中学校の1階廊下に掲示。日々の通学で生徒が気付いたことをポストイットで書き加えるようにした。
このワークショップでの発見
- 中学生以下を対象とした初めてのワークショップ。集中力が継続する限り、ゲーム感覚で作業ははかどる。(1時間程度の作業時間、男子のみのチームを作らない)
- 地図と普段の行動とを結びつける作業の大切さ。(地図上で自宅を探してもらう、通学路に線を引く)
- 同じ中学校で担当の先生を決め、毎年逃げ地図ワークショップを行うことで逃げ地図初体験だった先生が3年後にはファシリテーターとして独り立ちした。
- ファシリテーターは育成できたが、大判地図を印刷する手段がなく、2015年時点でもワークショップ用の地図は日建設計が全て印刷していることが課題。
基本情報
開催年月日 | 2012年10月19日 2013年、2014年、2015年 |
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参加対象 | 2012年10月19日:全校生徒約200人対象 2013・2014年:1・2年生対象 2015年:1年生対象 |