事例紹介
宮城県 気仙沼市津谷川流域
- 対象災害
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- 津波
経緯と目的
- 防潮堤の建設問題が地域内で紛糾していた気仙沼市津谷川流域において、住民及び市民が自ら津谷川流域の逃げ地図を作成して津波防災まちづくりを検討したいという相談が明治大学都市計画研究室に寄せられた。そこで、これまでに実施した逃げ地図づくりの事例を参考資料として送付したが、逃げ地図づくりワークショップの経験が一度もないと、事例の資料を見るだけでは、ワークショップの開催まで至ることが難しいことから、しいことから、明治大学都市計画研究室が支援して開催することになった。
- そこで、実際の逃げ地図づくり体験を通して参加者が逃げ地図づくりワークショップの技術を習得することを目的として開催した。
方法と内容
- この地域は防潮堤の建設問題が紛糾していたことから、防潮堤のない場合と防潮堤ができた場合を想定した2つの逃げ地図を実際に作成し、比較を行うこととした。ベースマップは、建設予定の防潮堤、三陸道、国道45号線を書き加えたものと、現況の地図の二種類を用意した。
- 明治大学の山本俊哉教授が「逃げ地図から地区防災計画へ」と題して、逃げ地図づくりの主旨と方法、地区防災計画立案への展開についてレクチュアした後、参加した約30名が「防潮堤有班」「防潮堤無班」の二班に分かれて逃げ地図づくりを行った。
成果と課題
- 防潮堤のない場合と防潮堤ができた場合の逃げ地図を作成して比較したところ、防潮堤の上部は目標避難地点まで最も時間のかかる場所であること、防潮堤に上り下りする経路が限られるため、防潮堤がない方が海辺からの避難時間が短いことなど、防潮堤計画の避難時間に関する問題点が明らかになった。
- 逃げ地図の作成はリスクの可視化の手段であるが、「津波の届く範囲が可視化されるのは良い」「ミクロな視点から出る意見がハザードマップでは見えない情報があってよかった」「道の大きさ、キャパシティも可視化した方がいいのではないか」「防潮堤の建設後は自分のいる場所のリスクを把握しなければならない」など有意義なリスク・コミュニケーションの機会になった。
- この研修ワークショップに参加した気仙沼市立面瀬小学校の教諭が、6月23日に開催した同小学校と中学校の合同授業において逃げ地図づくりワークショップを実施した。
基本情報
開催年月日 | 2015年5月2日 |
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開催場所 | 気仙沼市立小泉小学校体育館 |
主催 | 明治大学都市計画研究室 |
参加対象 | 津谷川流域住民、一般市民 |
参加者数 | 約20人 |
新聞掲載 | 三陸新報 2015年5月5日 |
ワークショップの様子
逃げ地図づくりの主旨と方法について説明
目標避難地点を設定して避難経路を色分け
2種類の逃げ地図を比較して意見交換
防潮堤整備後の逃げ地図
防潮堤整備前の逃げ地図