事例紹介
北海道 函館西高等学校
- 対象災害
-
- 津波
経緯と目的
函館市西部地区(元町、弥生町、大町、宝来町、青柳町、末広町)
・日本海溝・千島海溝沿いで発生が想定される巨大地震による津波は、函館市に大きな被害を及ぼす可能性がある。特に市内でも避難が難しいと考えられる西部地区に焦点を当て、以下を目的にワークショップを実施した。
1)逃げ地図作成を通じて、防災(特に避難)に対する理解を深める。
2)生徒が地域の防災意識を高めるきっかけとする。
3)実際に函館西高等学校を避難所とした場合の避難ルートを検討し、課題を共有する。
方法と内容
・講師のいる教室からオンライン配信(Google Meet)により、各教室へ逃げ地図づくりの方法を15分間レクチャーした後、各教室には防災士1~2名を配置し、指導・助言した。・防災士は前日(9月18日)に研修を受け、補助者として各クラスを担当した。
・作図条件:避難対象:函館市西部地区にある指定避難所4か所(弥生小学校・函館西高等学校・青柳小学校・青柳中学校)。歩行速度:129m/3分。1クラス6グループに分け、3グループは弥生小・函館西高を指定避難所とし、残り3グループは青柳小・青柳中を指定避難所として逃げ地図を作成した。
・グループワークの時間は約1時間。A1サイズ(縮尺1/2,500)の白地図を用意して、色分け、避難方向の矢印記入、付箋による気づきの記録・意見交換した。その後、教室ごとにグループが作成した逃げ地図を提示し、気づいた点を発表・共有した。
成果と課題
・避難が難しい地域があり、津波避難ビルの新設が必要であることが共有された。
・函館西高等学校は高台に位置し、坂道の勾配が急であるため、高齢者等が避難する際には休憩ポイントが必要であることが指摘された。
・函館市西部地区は観光スポットが多く、観光客が避難所の位置を把握しづらいという課題が共有された。
・今回の参加生徒は市内および近隣市町村から通学しているため、通学地域でも同様のワークショップを実施する必要性があるとの意見が出た。
・本ワークショップを通じて、生徒たちは自らの地域に潜む課題を可視化し、避難行動の困難さを具体的に理解することができた。今後は、地域住民や観光客を含めた実践的な避難訓練、さらには津波避難ビルの整備など、より実効性のある対策につなげていくことが求められる。
基本情報
| 開催年月日 | 2025年9月19日 |
|---|---|
| 開催場所 | 函館西高等学校 |
| 主催 | 函館西高等学校 |
| 協力 | 二級防災逃げ地図士 石田剛司 北海道防災士会道南ブロック、函館市防災士会 |
| 参加者数 | 255名 ・函館西高等学校 2年生:240名 ・教職員:6名 ・北海道防災士会道南ブロック防災士:1名 ・函館市防災士会防災士:8名 |
ワークショップの様子


