' 燕市 児童研修館「こどもの森」 | 逃げ地図

事例紹介

新潟県 燕市 児童研修館「こどもの森」

対象災害
  • 洪水

経緯と目的

こどもの森は、新潟県の県央地区の越後平野に位置する児童館、児童クラブ併設の施設です。隣に大きな公園があるため、燕市内だけでなく、県内外から多くの親子連れが遊びに来てくれます。

こどもの森で防災の取り組みを始めて8年になります。2023年9月からは「つながる防災プロジェクト」に参加しています。このプロジェクトの中間報告会で、「逃げ地図」づくりを知りました。きれいに色が塗られていくワクワク感があり、知らない道を実際に歩いているような感覚で体験しながら、自分たちの地域でやってみたい、子どもたちと一緒にやってみたいという気持ちがどんどん出てきました。やってみたいという思いだけでスタートした企画です。実施に当たっては、損保ジャパンの皆さま、山本俊哉先生にアドバイスをいただきながら準備を進めました。

しかし、防災講座の参加者はいつも少なく、今回の企画も果たして子どもたちが参加してくれるのかと不安でいっぱいでした。チラシを作成し、来館者にどんどん声をかけたり、地域でボランティア活動をしている方を誘ったりしていると、あっという間に定員の30名に。その後も当日の朝まで参加希望者があり、うれしい悲鳴! せっかくの希望者を断りたくないという思いで、全員を受け入れ「逃げ地図」づくりワークショップが始まりました。

方法と内容

燕市は災害の少ない地域です。しかし、大河津分水路ができる前は洪水に悩まされていたり、2004年7月13日には隣の三条市で大きな水害があったりしました。そこで、想定災害は水害にすることにしました。

白地図の入手は、燕市都市計画課にお願いしました。こどもの森を地図の中心に置くと地図が3枚に分かれるため、コピーして貼り合わせるというアナログな手法で用意しました。山本先生からのアドバイスで5グループ2地区に分かれ、指定避難所まで、予備避難所をプラス、さらに商業施設もプラスしてグループごとに避難場所の想定を変えました。直前まで申し込みが増えたために、避難場所の想定もギリギリまで山本先生に相談して決めました。

また、素人が進行するため「逃げ地図」についての説明に不安があり、山本先生にオンラインでガイダンスをしていただきました。最初に水害が起こるとどういう状況になるのかを子どもたちにも分かりやすいように話していただきました。後半は「逃げ地図」づくりの目的や作成の仕方などの大人向けの話でしたが、子どもたちが画面から目を離すことなくじっと聞いていた姿が印象的でした。

事前に名札に得意なことなどを書いていたので、それを紹介する自己紹介をした後、いよいよ「逃げ地図」づくりのスタートです。参加者のアンケートにもありましたが、「説明だけでは分かりにくかったが、やっているうちにだんだん分かってきた」とのことで、損保ジャパンの皆さまのファシリテーターとしての力添えがとてもありがたかったです。

時間の関係で、地図を完成するには至らなかったのですが、グループ内で気付きや感想を話し合い、付箋に記入し、その後発表の時間を取りました。どのグループも子どもたちが代表として発表してくれました。「近い避難場所を見つけたい(小学生)」「3分とか6分で思ったより遠くまで歩けることが分かった(小学生)」「地図を見て入り口がどこか分からないところがありました(小学生)」「地図からいろんなことが分かりました。小さい子がかわいくて楽しかったです(中学生)」

成果と課題

幼稚園の年長から小学校低学年の子どもたちが飽きてしまうのではないかと思っていましたが、夢中になって取り組んでいました。大人たちに臆することなく、子どもたちなりの気付きを口にしていて、予想をはるかに上回る盛り上がりでした。時間の関係で、最後まで色塗りできなかったのですが、塗りながらのグループでの会話がかなりできており、地域を知り、避難のタイミングや避難場所について考えるということは十分にできたと思います。

以下、参加者の感想です。自分の住んでいる地域でやってみたいという声が非常に多かったです。また、感想から大人も子どももしっかりと考えながら取り組んでいたこと伝わって来て、ワークショップを実施して良かったと思いました。

・「逃げ地図」づくりの後に実際に地域を歩いてみるとさらに良い活動になるのではないかと思った。

・街歩きも合わせてやるとよい。自分の住んでいるところを中心にやりたい。

・逃げ地図+街歩きをやってみたい。歩いて確認してみたくなった。地域に住む外国人とやってみたい。

・自分の街の地図でもう一度この活動をやってみたいです。

・自宅からの避難経路を確認したいと思いました。

・子どもたちが意見を言っていた。小学生くらいでも理解できるプログラムなのだと思った。自分が住んでいるところ、よく行くところでもやってみたい。

・平野で高台のない地域で、避難場所も思ったより少ないことに気付きました。では、どこに避難するのか、それを考えるきっかけになったと思います。

・地図の作業をすることで、歩く時間、距離のイメージができた。実際の道の状態は見てみないと単純に距離だけでは分からないということも分かった。

・実際の地図に色を塗ってみたら、避難時に時間がかかることが分かって良かったです。

・洪水が来た時の大人でも歩けない怖さ。逃げ地図づくりでは、思っていたより徒歩避難に時間がかかることが分かった。パニくっている時ほど、正しい道を知っている・いないで差が出ると感じました。

・様々な年齢、立場、条件の人とグループになれて良かったです。

・子どもの参加と意見がとても良かった。

・たのしかったし、やさしくおしえてもらえたからわからないところもわかった。

基本情報

開催年月日 2024年3月17日(日)10時30分~11時45分
開催場所 燕市児童研修館「こどもの森」 (新潟県燕市大曲3355番地)
主催 燕市児童研修館「こどもの森」
共催 山本俊哉先生(明治大学/日本都市計画家協会)
損害保険ジャパン株式会社
つばめアレルギーっ子クラブ
参加対象 幼児・小学生とその保護者、学生、関心のある大人
参加者数 51人(大人36人、中学生3人、小学生7人、幼児5人)

ワークショップの様子

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