事例紹介
岩手県 県立大船渡東高校
- 対象災害
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- 津波
経緯と目的
- 岩手県教育委員会から防災教育の一つとして逃げ地図作成を行いたいと、逃げ地図づくりプロジェクトチームのメンバーでNPO法人陸前高田創生ふるさと会議の福田利喜氏に打診があった。
- 協議した結果、高校生の通学時の避難対策と地震津波からの防災教育を推進するには高校生が自ら逃げ地図の作成を体験することが重要と考え、実施するに至った。
- 平成27年度岩手県立高等学校の防災教育モデル指定校の3校のうち、実際に津波被害が大きかった地域である大船渡東高校が選定された。
- 教職員を担い手(ファシリテーター)として育成する観点から明治大学都市計画研究室が支援することになった。したがって、1回目は教職員研修、2回目は高校生に対する防災学習のワークショップを実施することとした。
方法と内容
- 大判のベースマップは大学研究室(明治大学都市計画研究室)にて準備した。
- 第1回のワークショップは、大船渡東高校と近隣の高校の教員約60名を集め、逃げ地図づくりワークショップの研修会として、大船渡市盛駅周辺地区の逃げ地図を作成した。比較的分かりやすい地形で範囲もそれほど大きくないため、逃げ地図づくりを経験するには適当な対象であった。
- 第2回のワークショップは高校1年生約240名が全員体育館に集まり、そのうち半数が逃げ地図作成に取り組み、残りは地図上で一時避難場所の確認を行った。
- 逃げ地図づくりは12班(各班約10名)に分かれ、第1回のWSに参加した教員が各班に1名以上付いてファシリテーターを担った。
成果と課題
- 高校は広域から通学することから、全ての通学路をカバーする逃げ地図を作成するには、広範囲のベースマップを用意する必要があるし、一定の時間内に全ての地域の逃げ地図を作成することは決して容易ではない。90分間で逃げ地図を作成するには範囲が広域であり、しかもファシリテイターがまだ逃げ地図の作成に不慣れであったことから、時間内に完成することが困難であった。
- 逃げ地図作成を一度経験するだけでは習得することは難しく、担い手を養成するには予習復習が可能なテキストが必要である。
- 参加した高校生から「避難時間のかかる場所には普段高齢者が多く集まっている」ことが指摘されるなど、限られた時間ではあったが、防災学習として一定の効果が見られた。
- 高校の防災教育として逃げ地図づくりWSを行う際には、広範囲のベースマップを準備すること自体が難しいことや、時間の制約を考えると、すべての通学路を網羅しようとせずに検討地域の絞り込みが必要であることが明らかになった。
- 教員研修については、逃げ地図づくりを一度経験するだけでは習得することは難しく、担い手を養成するには予習・復習を含む研修プログラムの充実が必要であることが明らかになった。
基本情報
開催年月日 | 2015年9月11日(第1回) 2015年10月16日(第2回) |
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開催場所 | 岩手県立大船渡東高校 |
主催 | 岩手県教育委員会(第1回) 岩手県立大船渡東高校(第2回) |
参加対象 | 大船渡東高校及び近隣の高校の教職員約60人(第1回) 大船渡東高校1年生(第2回) |
参加者数 | 約60人(第1回) 約240人(第2回) |
ワークショップの様子
会場となった大船渡東高校