事例紹介
岩手県 陸前高田市米崎地区
- 対象災害
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- 津波
経緯と目的
- 米崎町地区では、米崎小学校と高田東中学校(旧・米崎中学校)が二次避難所に指定され、高台の道路で繋がっているが、低地を通らないと遠回りになることから、登下校中の学校への避難が検討課題になっていた。
- 一方、脇ノ沢漁港周辺地区では、高い直立護岸の防潮堤の建設計画の見直しを求める住民有志が米崎地区コミュニティ推進協議会を交えて協議を重ねていた。そこで、1回目のワークショップは、住宅の高台移転事業に伴う避難道路による避難時間短縮効果、防潮堤の高さ・水門・階段の位置を検証するなど、まちづくりの議論のプラットフォームとするために開催した。
- 2回目は、NPO法人再生の里ヤルキタウンの設立2周年記念イベントの一企画として、消防や警察などの関係機関も交え、逃げ地図づくりの普及・啓発を進めるため開催した。
方法と内容
- 1回目も2回目も、東日本大震災程度の津波を想定し、東日本大震災の津波遡上ラインと震災復興事業後の道路・通路の交点を避難目標地点とした。土砂災害の避難障害地点はハザードマップを参照し適宜設定した。河川及び水路に架かる橋梁は、その危険性よりも復興事業に合せた橋梁の架橋検討の必要性が高かったため、避難障害地点としなかった。
- 津波発生時、水門が絞められた後は、12.5mの防潮堤の階段を使って越えることになるため、実際に階段の昇降時間を計測し、防潮堤を越えるのに3分の時間を要するとし、逃げ地図の色分けにもそれを反映させた。
成果と課題
- 被災時に孤立する高台への避難経路を確保しても、全般的には避難時間の短縮に余り効果が見られなかった。
- 集団移転する高台へのアクセス道路の整備により避難時間の短縮効果が見られた。
- 水門閉鎖時の防潮堤の海側からの避難に時間がかかることが明らかになった。
- 防潮堤を越える時間を反映させたことで、港の危険性が指摘され、漁港から直接高台へ車で避難する道の必要性の声が上がった。
- これらを踏まえ、米崎地区の住民等が主体的に逃げ地図を活用して被災低地の土地利用のあり方を検討した。
- 参加者が限定され、防潮堤に対する議論の発展性には限りが見られた。
基本情報
開催年月日 | (第1回)2014年10月18日 (第2回)2014年12月7日 |
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開催場所 | 再生の里ヤルキタウン会議室 |
主催 | (第1回)米崎町脇ノ沢漁港周辺地区復興まちづくり懇談会 (第2回)NPO法人再生の里ヤルキタウン |
共催 | (第2回)米崎地区コミュニティ推進協議会、米崎町女性会、米崎中学校仮設住宅自治会、米崎小学校仮設住宅自治会 |
後援 | (第2回)陸前高田市、陸前高田市教育委員会、陸前高田市社会福祉協議会、陸前高田観光物産協会、(株)岩手日報、東海新報社 |
協力 | (第2回)陸前高田市消防署、大船渡警察署、防衛省自衛隊釜石地域事務所、明治大学都市計画研究室、一般社団法人子ども安全まちづくりパートナーズなど |
参加対象 | (第1回)米崎町脇ノ沢周辺地区の仮設住宅居住者など地域住民 (第2回)米崎地区の仮設住宅居住者など地域住民、消防・警察関係者など |
参加者数 | (第1回)14名(1班構成) (第2回) 24名(3班構成) |
ワークショップの様子
第1回WSで作成した逃げ地図
逃げ地図づくりの様子(第1回WS)
作成した逃げ地図を囲んで復興まちづくりについて議論(第1回WS)
小学生も参加して逃げ地図を作成(第2回WS)
消防関係者も参加して、作成した逃げ地図を囲んで議論(第2回WS)