事例紹介
石川県 金沢市大野町地区(第1回)
- 対象災害
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- 津波
経緯と目的
- 2014年11月から金沢21世紀美術館で開催された企画展「3.11以降の建築」の一環で、美術館側からの依頼で企画されたワークショップ。
- 対象になった金沢市北部沿岸部の大野町は、沿岸部に大野町小学校、金石町小学校があり、児童たちを誘導する避難方向について小学校側の意見と町会側の意見が異なっていた。
- このワークショップの目的はまず、状況を客観的に知ることと、逃げ地図の描き方を地域の大人が学び、それを子どもたちに教えられるようになることを目的とした。
方法と内容
- ワークショップ参加者は、大野町町会の会長など住民の皆さんと、小学校の教員及び教育委員会、大学関係者など。
- 町会側と小学校の教員の皆さんが同席するよう班分けを行い、その地域の橋を渡れるとした場合と、いくつかの橋が渡れない場合で逃げ地図を作成、それを比較することで、逃げ地図が想定を変えて検討できることを伝えた。
- 住民からの情報提供で、どの橋が古く、大地震時に不安であるか、沿岸部のどの場所に人が多くいるかなど、地域の特性が分かった。
- 東日本大震災以降、津波からの避難において、町会は内陸部に逃げるとコンセンサスを取っていたようだが、小学校は児童の誘導に時間がかかることから、海側の高台に児童を避難誘導する方針を立てていた。地域住民からはその海側の高台に避難する方針に疑問の声が上がっていた。
- ワークショップでは内陸側に避難すると、浸水しかねない低平地をかなり長い時間歩くことになることが分かり、学校側の方針に一定の理解が示された。
成果と課題
逃げ地図を介することで、異なる状況や立場に置かれている者同士で異なる意見による方策が、どのような性質をもつのか客観的に示されることで相互の理解を促し、対話の促進につながることが確認できた。
基本情報
開催年月日 | 2014年7月21日 |
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開催場所 | もろみ蔵 |
主催 | 金沢21世紀美術館 |
参加対象 | 大野町地区の住民、同地区教育委員会など |
参加者数 | 約30人 |