事例紹介
高知県 黒潮町浜町地区
- 対象災害
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- 津波
経緯と目的
- 黒潮町の佐賀漁港の北側に位置する浜町地区は、高知県の想定によれば、南海トラフ地震発生後19分で津波の第一波が到達し、最大津波高が18mにも及び、津波到達前に高台避難が困難な住民がいると想定されることから、全国で最も高いとされる地上22mの津波避難タワーの建設が計画されていた。また、浜町地区でも、避難場所や避難経路検討のためのワークショップや世帯別避難カルテづくり、住民総出の避難訓練などが重ねられ、住民の防災意識は高く、避難に関する施設整備も進んでいた。
- 逃げ地図づくりはそれまでの取り組みを振り返り、効果を検証できることから、逃げ地図づくりを四国地方で広げるために、津波避難タワーの建設計画のある浜町地区で逃げ地図づくりのデモンストレーションの開催を提案した。
方法と内容
- 津波からの逃げ地図づくりの手法について簡単に説明した後、2班に分かれて浜町地区を含む旧佐賀町の津波からの逃げ地図を作成した。
- 1班は、津波避難タワー建設前の標高20mの高台まで避難する逃げ地図を作成し、もう1班は、地上22mの津波避難タワーおよび標高20mの高台まで避難する逃げ地図を作成した。作成後、参加者が両方の地図を囲んで見比べて、意見を出し合った。
- 参加者は女性と50歳以上が大半を占めた。作業時間は実質的に1時間足らずであったが、会話を弾ませながら、楽しく逃げ地図づくりが進められた。
成果と課題
- 設定条件の異なる逃げ地図を比較すると、津波避難タワーの建設に伴う避難時間の短縮が一目瞭然であり、地区内のどこからも想定される津波第一波の到達前までに避難可能なことが明らかになった。
- 参加者アンケートによれば、逃げ地図づくりはわかりやすい手法と明確な比較検討の結果などが評価された。具体的には、「各世帯、各個人が逃げる場所を再確認でき、地図で全体の避難経路が見渡せて今まで気がつかなかった避難経路を発見できる」「子どもにとっても楽しく、わかりやすいことから、次回は子どもから大人まで一緒に行うと良い」などの意見が寄せられた。
基本情報
開催年月日 | 2015年2月22日 |
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開催場所 | 佐賀町漁協漁民研修センター |
主催 | 明治大学都市計画研究室 |
協力 | 黒潮町、浜町地区自主防災会、高知県漁港佐賀統括支所女性部 |
参加対象 | 浜町地区住民、漁協女性部メンバー、黒潮町職員 |
参加者数 | 20人 |
ワークショップの様子
高台への逃げ地図づくり
津波避難タワーを含めた逃げ地図づくり
作成した逃げ地図を見比べて意見交換